英語の資格を取りたいと思ったとき、まず直面するのが「どの試験を受ければいいの?」という問題です。TOEIC、TOEFL、英検、IELTS、ケンブリッジ英語検定…英語の資格試験は種類が多く、それぞれ特徴も目的も異なるため、自分に合った試験を選ぶのは意外と難しいですよね。
資格試験の選び方を間違えると、せっかく時間とお金をかけて対策しても「実はこの資格、自分の目的には合っていなかった…」ということになりかねません。就職に活かしたいのか、留学に必要なのか、自分の英語力を客観的に知りたいだけなのかで、選ぶべき試験はまったく変わってきます。
この記事では、日本で受験できる主要な英語資格試験を徹底比較し、あなたの目的に合った最適な試験の選び方をわかりやすく解説します。各試験のスコア換算表も掲載していますので、すでに何かの資格をお持ちの方も、次にどの試験を受けるべきかの判断材料としてお役立てください。
主要な英語資格試験を一覧で比較
まずは日本で受験可能な主要な英語資格試験の概要を一覧表で比較します。
| 試験名 | 主な用途 | 費用 | 有効期限 | 測定技能 |
|---|---|---|---|---|
| TOEIC L&R | 就職・転職・昇進 | 7,810円 | なし(取得日の記載あり) | 聞く・読む |
| TOEIC S&W | ビジネス英語力の証明 | 10,450円 | なし | 話す・書く |
| 英検(実用英語技能検定) | 進学・就職・英語力の証明 | 級により異なる | なし(一生有効) | 4技能 |
| TOEFL iBT | 海外大学・大学院への留学 | 約35,000円 | 2年間 | 4技能 |
| IELTS | 留学・海外移住・ビザ申請 | 25,380円〜 | 2年間 | 4技能 |
| ケンブリッジ英語検定 | 国際的な英語力の証明 | 級により異なる | なし(一生有効) | 4技能 |

TOEIC(トーイック)の特徴と活用法
日本で最も受験者が多い英語試験がTOEICです。年間約230万人が受験しており、就職・転職・昇進の場面で最も広く利用されている英語資格です。
TOEIC L&R(リスニング&リーディング)
最も一般的な形式で、マークシート方式のリスニングとリーディングの2セクションで構成されています。スコアは10〜990点で評価されます。
- ビジネスシーンを想定した問題内容
- マークシート方式なので採点が客観的
- 年に10回以上実施されるため受験しやすい
- スコアに有効期限はないが、企業によっては「直近2年以内」の提出を求められることも
TOEIC S&W(スピーキング&ライティング)
L&Rだけでは測れないスピーキングとライティングの力を評価するテストです。パソコンに向かって話す・書く形式で、各200点満点(合計400点満点)のスコアが出ます。
近年はTOEIC L&Rだけでなく、S&Wのスコアも求める企業が増えています。「聞ける・読める」だけでなく「話せる・書ける」も証明したい方は、S&Wの受験も検討しましょう。
TOEICスコアの目安
| スコア | レベル | 活用場面 |
|---|---|---|
| 400〜500点 | 基礎レベル | 英語学習のモチベーション指標に |
| 600点 | 初中級 | 履歴書に書ける最低ライン |
| 730点 | 中級 | 多くの企業が求めるスコア帯 |
| 860点 | 上級 | 英語を使う部署・職種に必須 |
| 900点以上 | 最上級 | 外資系企業・海外駐在員の目安 |
企業が求めるTOEICスコアは業種や職種によって異なりますが、IIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)の調査では、上場企業の約7割がTOEICスコアを採用・昇進の参考にしていると報告されています。
英検(実用英語技能検定)の特徴と活用法
英検は日本独自の英語資格試験で、小学生から社会人まで幅広い年齢層に利用されています。級制度(5級〜1級)を採用しており、自分のレベルに合った級から段階的にチャレンジできるのが特徴です。
各級のレベルと目安
| 級 | レベル | TOEIC換算(目安) | 主な活用場面 |
|---|---|---|---|
| 5級 | 中学初級 | — | 英語学習の第一歩 |
| 4級 | 中学中級 | — | 中学英語の確認 |
| 3級 | 中学卒業 | 約400点 | 高校入試の加点 |
| 準2級 | 高校中級 | 約500点 | 大学入試の加点 |
| 2級 | 高校卒業 | 約600点 | 大学入試・就職活動 |
| 準1級 | 大学中級 | 約800点 | 就職・転職に有利 |
| 1級 | 大学上級 | 約950点 | 通訳・翻訳・教育 |

英検の試験形式
3級以上の英検は一次試験(筆記+リスニング)と二次試験(面接)の2段階で実施されます。一次試験に合格した人だけが二次試験に進む仕組みです。
二次試験ではネイティブまたは日本人の面接委員と対面で英語のやり取りをします。スピーキング力も含めた4技能をバランスよく測定できるのが英検の強みです。
英検のメリット
- 合格すれば一生有効:TOEFLやIELTSのようなスコアの有効期限がない
- 受験料が比較的安い:2級で約9,000円程度
- 全国どこでも受験可能:試験会場が非常に多い
- 大学入試で優遇される:多くの大学が英検の取得級を入試で評価
英検の詳細な情報は日本英語検定協会の公式サイトで確認できます。
TOEFL iBTの特徴と活用法
TOEFL(Test of English as a Foreign Language)は、英語を母語としない人の英語力を測るために開発された試験です。主に北米の大学・大学院への留学を目指す方が受験します。
TOEFL iBTの構成
| セクション | 時間 | スコア | 内容 |
|---|---|---|---|
| リーディング | 35分 | 0〜30点 | 学術的な長文読解 |
| リスニング | 36分 | 0〜30点 | 大学の講義・会話の聞き取り |
| スピーキング | 16分 | 0〜30点 | マイクに向かって回答 |
| ライティング | 29分 | 0〜30点 | エッセイ・要約&意見 |
合計120点満点で、4技能すべてが均等に評価されるのが特徴です。
TOEFLスコアの目安
- 60〜80点:コミュニティカレッジや一部の大学の最低基準
- 80〜100点:多くの大学が求めるスコア帯
- 100点以上:トップレベルの大学・大学院が要求
TOEFLが難しいと言われる理由
TOEFLはアカデミック(学術的)な英語力を測定するため、日常英会話レベルの英語力では歯が立ちません。天文学、生物学、歴史学、心理学など、大学の講義で扱うような専門的な内容が出題されます。
また、スピーキングセクションではマイクに向かって一人で話す形式のため、面接形式に比べて難易度が高いと感じる受験者が多いです。

IELTS(アイエルツ)の特徴と活用法
IELTS(International English Language Testing System)は、イギリス・オーストラリア・カナダ・ニュージーランドへの留学や移住を目指す方に必須の試験です。近年はアメリカの大学でもIELTSを受け入れるケースが増えています。
IELTSの2つのモジュール
- Academic(アカデミック):大学・大学院への留学を目的とする方向け
- General Training(ジェネラル・トレーニング):移住・就労ビザの申請を目的とする方向け
どちらのモジュールもリスニングとスピーキングは共通ですが、リーディングとライティングの内容が異なります。
IELTSのスコアシステム
IELTSは4つの技能をそれぞれ1.0〜9.0のバンドスコアで評価し、その平均をOverall Band Scoreとして算出します。
| バンドスコア | レベル | TOEFL iBT換算 | TOEIC換算(目安) |
|---|---|---|---|
| 4.0〜4.5 | 基礎レベル | 32〜45 | 約550点 |
| 5.0〜5.5 | 中級 | 46〜59 | 約650点 |
| 6.0〜6.5 | 中上級 | 60〜93 | 約780点 |
| 7.0〜7.5 | 上級 | 94〜109 | 約870点 |
| 8.0以上 | 最上級 | 110以上 | 約950点 |
IELTSの特徴的なポイント
IELTSのスピーキングは面接官との対面式で行われます。TOEFLのマイクに向かって話す形式と比べて、「相手がいるほうが話しやすい」と感じる方にはIELTSが向いています。
また、リスニングではイギリス英語を中心に様々なアクセント(オーストラリア英語、インド英語など)が登場するのも特徴です。
IELTSの詳しい情報はブリティッシュ・カウンシルのIELTSページで確認できます。
ケンブリッジ英語検定の特徴と活用法
ケンブリッジ英語検定は、イギリスのケンブリッジ大学が開発した英語試験で、世界130カ国以上で実施されている国際的に権威のある資格です。日本ではあまり知名度が高くありませんが、ヨーロッパでは非常にメジャーな資格です。
ケンブリッジ英語検定のレベル
- KET(A2 Key):初級レベル
- PET(B1 Preliminary):中級レベル
- FCE(B2 First):中上級レベル。海外の大学入学に使える
- CAE(C1 Advanced):上級レベル。多くの大学・企業が認める
- CPE(C2 Proficiency):最上級レベル。ネイティブ並みの英語力
ケンブリッジ英語検定のメリット
- 合格すれば一生有効:TOEFLやIELTSのように2年で失効しない
- 国際的な認知度が高い:特にヨーロッパでの就職・留学に有利
- 実践的な英語力を測定:リアルな場面でのコミュニケーション能力を評価

【目的別】あなたに最適な英語資格はこれ!
ここまで各試験の特徴を解説してきましたが、「結局、自分はどの試験を受ければいいの?」という方のために、目的別のおすすめをまとめます。
就職・転職に活かしたい → TOEIC L&R
日本国内での就職・転職なら、圧倒的にTOEIC L&Rが有利です。ほぼすべての企業がTOEICスコアを英語力の指標として認めています。まずは600点、次に730点、860点と段階的に目標を上げていきましょう。
大学入試に活かしたい → 英検
高校生・大学受験生には英検が最適です。多くの大学が英検の取得級を入試で評価しており、準1級以上を持っていると大きなアドバンテージになります。
北米の大学・大学院に留学したい → TOEFL iBT
アメリカ・カナダの大学への留学を目指すならTOEFL iBT一択です。ほぼすべての北米の大学がTOEFLスコアを入学要件としています。
イギリス・オセアニアに留学・移住したい → IELTS
イギリス・オーストラリア・ニュージーランドへの留学や移住ならIELTSが必須です。ビザ申請にIELTSスコアが求められるケースも多いです。
ヨーロッパで就職したい → ケンブリッジ英語検定
ヨーロッパの企業で働くことを目指しているなら、ケンブリッジ英語検定のFCE(B2 First)以上を取得しておくと有利です。
自分の英語力を客観的に知りたい → 英検 or TOEIC
特定の目的はないけれど自分の英語力を知りたいという方には、英検かTOEICがおすすめです。英検は級制度でレベルがわかりやすく、TOEICはスコアで細かくレベルが把握できます。
複数の資格を組み合わせるメリット
ひとつの資格だけでなく、複数の資格を組み合わせて持つことで、より幅広いシーンで英語力をアピールできます。
おすすめの組み合わせ例
- TOEIC 860点 + 英検準1級:就職・転職の場面で最強の組み合わせ。4技能すべてをカバー
- TOEFL 100点 + IELTS 7.0:留学先の選択肢を北米・イギリスの両方に広げられる
- TOEIC 900点 + TOEIC S&W 320点:「読み聞き」だけでなく「話す書く」もできることを証明

英語資格試験の効率的な対策法
どの試験を受けるにしても、効率的な対策法には共通するポイントがあります。
1. 試験形式を徹底的に理解する
各試験には独自の形式やルールがあります。問題数、制限時間、出題パターン、採点基準を事前に把握しておくことで、無駄のない対策ができます。
2. 公式教材を最優先で使う
各試験の運営団体が出している公式教材は、本番に最も近い問題が収録されています。市販の対策本も有用ですが、まずは公式教材を完璧にこなすことが最優先です。
3. 模試で本番シミュレーション
本番と同じ条件(時間制限あり・静かな環境)で模試を解く練習を最低3回は行いましょう。本番の緊張感に慣れておくことで、実力を発揮しやすくなります。
4. 弱点パートを集中的に対策
模試の結果を分析して、最もスコアが低いパートから優先的に対策しましょう。得意なパートを伸ばすよりも、苦手なパートを底上げするほうが、全体のスコアアップに直結します。
CEFR(セファール)で各試験のスコアを横断比較
異なる英語試験のスコアを比較するときに役立つのがCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)です。CEFRはA1(初級)〜C2(最上級)の6段階で語学力を評価する国際基準で、各試験のスコアをCEFRに当てはめることで横断的な比較が可能になります。
| CEFR | TOEIC L&R | 英検 | TOEFL iBT | IELTS |
|---|---|---|---|---|
| A1 | 120〜220 | 5級〜4級 | — | — |
| A2 | 225〜545 | 3級〜準2級 | — | — |
| B1 | 550〜785 | 2級 | 42〜71 | 4.0〜5.0 |
| B2 | 790〜945 | 準1級 | 72〜94 | 5.5〜6.5 |
| C1 | 945〜990 | 1級 | 95〜120 | 7.0〜8.0 |
| C2 | — | — | — | 8.5〜9.0 |
※この換算表はあくまで目安です。各試験は測定する技能や出題内容が異なるため、完全な互換性はありません。

まとめ:目的を明確にして最適な英語資格を選ぼう
英語の資格試験は「どれが一番いい」というものではなく、「自分の目的に合った試験を選ぶ」ことが最も重要です。
改めてポイントを整理します。
- 就職・転職:TOEIC L&R(+可能ならS&W)
- 大学入試:英検(2級以上)
- 北米留学:TOEFL iBT
- イギリス・オセアニア留学・移住:IELTS
- ヨーロッパでの活動:ケンブリッジ英語検定
- 英語力の把握:英検 or TOEIC
まずは目的を明確にし、それに合った試験を選び、効率的な対策を行いましょう。どの試験を選ぶにしても、「目標スコア・級を設定して、計画的に対策する」という基本は同じです。
各試験の最新情報は、文部科学省の外国語教育ページでも確認できますので、併せてチェックしてみてください。あなたの目的に合った英語資格を取得して、キャリアや人生の可能性を広げていきましょう。



