「英語を勉強したいけど、TOEICのスコアを上げるのが先?それとも英会話ができるようになるのが先?」社会人にとって、限られた時間の中でどちらに注力すべきかは悩ましい問題です。
結論から言うと、TOEICと英会話のどちらを優先すべきかは「何のために英語を使うか」によって変わります。昇進や転職のためにスコアが必要な人と、海外のクライアントと会議がしたい人では、当然アプローチも異なります。
この記事では、社会人が自分の目的に合った優先順位を判断できるよう、TOEICと英会話それぞれのメリット・デメリットを整理し、目的別の最適な学習戦略を解説していきます。

TOEICと英会話の違いを正しく理解する
そもそもTOEICと英会話では、鍛えられるスキルが異なります。まずは両者の違いを整理しましょう。
TOEICで身につくスキル
- ビジネス英語のリスニング力
- 英文を正確に素早く読み解くリーディング力
- 文法・語彙の知識
- 英語の「インプット力」全般
英会話で身につくスキル
- 英語で自分の考えを伝えるスピーキング力
- 実際の会話で相手の言葉を理解するリスニング力
- 瞬時に英文を組み立てる瞬発力
- 英語の「アウトプット力」全般
TOEICは主に「読む・聴く」のインプットスキルを測定し、英会話は「話す・聴く」のコミュニケーションスキルを鍛えるという違いがあります。どちらか一方だけで「英語ができる」とは言い切れません。
TOEIC L&Rはリスニングとリーディングのみの試験です。スピーキングとライティングは別試験(TOEIC S&W)になるため、TOEIC L&Rで高得点=英語が話せるとは限りません。
TOEICを優先すべき社会人のパターン
転職・就職活動を控えている場合
企業の採用選考では、英語力を客観的に示す指標としてTOEICスコアが最も広く使われています。履歴書に書けるスコアがあるだけで、書類選考の通過率が変わるケースも珍しくありません。転職や就職のために短期間で「英語力の証明」が必要な場合は、TOEIC対策を優先すべきです。
特にTOEIC 730点以上を持っていると、多くの企業で「ビジネスレベルの英語力がある」と評価されます。外資系企業や海外部門を目指すなら、800点以上が目安です。
昇進・昇格にスコアが必要な場合
社内の昇進条件にTOEICスコアが設定されている企業は増えています。例えば「課長職にはTOEIC 600点以上」「海外赴任にはTOEIC 750点以上」などの基準がある場合、まずはそのスコアをクリアすることが最優先です。
英語の基礎力を固めたい場合
英語の基礎(文法・語彙・読解力)がまだ不十分な段階で英会話を始めても、「言いたいことが浮かばない」「講師の言っていることがわからない」という状態になりがちです。TOEIC対策を通じて基礎力を固めてから英会話に取り組むと、学習効率が格段に上がります。

英会話を優先すべき社会人のパターン
仕事で英語を「使う」必要がある場合
海外のクライアントとのミーティング、英語でのプレゼンテーション、外国人同僚との日常コミュニケーションなど、仕事の中で実際に英語を「話す」場面がある場合は、英会話を優先すべきです。TOEICで800点あっても、会議で一言も発言できなければ実務では役に立ちません。
海外赴任・出張が決まっている場合
海外赴任や出張が控えている場合、現地で必要になるのはスコアではなく実践的な会話力です。ビジネスシーンだけでなく、生活面(住居探し、銀行手続き、病院など)でも英語を使うことになるため、実際の場面を想定した英会話練習が有効です。
すでにTOEIC 600点以上の基礎力がある場合
TOEIC 600点以上の英語力がある方は、基本的な文法や語彙はすでに身についています。この段階からさらにTOEICのスコアを上げるよりも、英会話でアウトプット力を鍛えるほうが、実際に「英語が使える」実感を得やすいでしょう。
英語を使った趣味や交流を楽しみたい場合
「外国人の友達を作りたい」「海外旅行で困らない英語力をつけたい」「英語で趣味のコミュニティに参加したい」など、コミュニケーション目的で英語を学ぶなら、スコアより会話力を優先しましょう。
両方を並行して学ぶメリットと具体的な方法
実は、TOEICと英会話を並行して学ぶことで、相乗効果が得られます。
並行学習のメリット
- リスニング・リーディング・スピーキング・ライティングの4技能がバランスよく育つ
- TOEICで学んだ語彙や表現を英会話で使うことで定着する
- 英会話で培ったリスニング力がTOEICのスコアアップに直結する
- 飽きにくく、モチベーションが維持しやすい
効果的な並行学習のスケジュール例
平日はTOEIC対策(単語・文法・問題演習)を中心に、週末はオンライン英会話でアウトプットというスケジュールが多くの社会人に合っています。
| 曜日 | 学習内容 | 時間目安 |
|---|---|---|
| 月〜金 | TOEIC単語・文法・問題演習 | 30分/日 |
| 土 | オンライン英会話(25〜50分) | 50分 |
| 日 | TOEIC模試 or オンライン英会話 | 60分 |
もし平日にもオンライン英会話を入れられるなら、朝の時間帯を活用するのがおすすめです。出勤前の25分で英会話を1レッスン受けるだけでも、スピーキング力は着実に伸びていきます。

レベル別のおすすめ優先順位
初心者(TOEIC 400点未満)→ TOEIC優先
まずは基礎力を固めましょう。中学・高校レベルの文法と語彙をTOEIC対策で復習し、600点を目指します。この段階で英会話を始めても「話す材料」が足りず挫折しやすいため、インプット中心の学習がおすすめです。ただし、モチベーション維持のために月に数回は英会話に触れるのもよいでしょう。
中級者(TOEIC 500〜700点)→ 並行学習
基礎力がついているこのレベルが、並行学習に最も適しています。TOEICでインプット力を強化しながら、英会話でアウトプット力も同時に鍛えるのが効率的です。学んだ知識を実践で使う経験が、さらなる成長を加速させます。
上級者(TOEIC 730点以上)→ 英会話優先
すでに十分な基礎力があるため、英会話でのアウトプットに比重を置きましょう。TOEICスコアをさらに上げることも可能ですが、実践的な英語力を鍛えるなら、ビジネス英会話やディスカッション中心の学習が効果的です。
自分の現在のレベルがわからない場合は、TOEICの模試を受けてみましょう。公式問題集を1回分解くだけで、おおよそのレベルが把握できます。
TOEICと英会話を効率よく組み合わせるコツ
TOEIC教材を「音読」して英会話力も鍛える
TOEICの問題文やリスニング音声を使ったシャドーイングや音読練習は、スピーキング力の向上にも直結します。TOEIC対策をしながら自然と発話力もつく、一石二鳥の学習法です。
英会話でTOEIC頻出の表現を使う
TOEICで学んだビジネス表現を、意識してオンライン英会話のレッスンで使ってみましょう。知識として覚えた表現を実際に口に出すことで、記憶に定着し、試験本番でもスムーズに処理できるようになります。
英会話の復習でTOEICスコアが上がる
英会話レッスンの録音やチャット記録を見直し、知らなかった単語や表現をノートにまとめる習慣をつけましょう。実際の会話の中で出会った表現は印象に残りやすく、TOEICのリスニング・リーディングでも理解スピードが上がります。
英会話学習の進め方については、Bizmates Blogでもビジネス英語に関する具体的なアドバイスが掲載されています。
よくある質問
Q. TOEIC高得点でも英語が話せないのはなぜ?
TOEIC L&Rはリスニングとリーディングのみの試験のため、スピーキング力は測定していません。インプットの知識はあってもアウトプットの経験が不足していると、「わかるけど話せない」状態になります。英会話練習でアウトプットの回路を鍛える必要があります。
Q. 英会話だけやっていればTOEICのスコアも上がりますか?
リスニングスコアはある程度上がる可能性がありますが、リーディングスコアは英会話だけでは上がりにくいです。TOEIC特有の問題形式や時間配分に慣れるための対策は別途必要です。
Q. 社会人が1日30分しか時間がない場合、どちらに使うべき?
目的が明確ならそちらに全振りしましょう。迷うなら、平日はTOEIC(15〜20分)+残りの10分で英語のリスニング、週末にオンライン英会話25分、というバランスがおすすめです。スタディサプリENGLISHのようなアプリなら、通勤時間に効率よくTOEIC対策ができます。
Q. TOEICのスコアなしでも転職は可能ですか?
英語を使わない業種・職種であれば問題ありません。ただし、グローバル企業や外資系企業、海外部門への転職を目指す場合は、スコアがないと書類選考で不利になることがあります。TOEIC公式サイト(IIBC)で試験日程を確認し、早めに受験しておくことをおすすめします。

まとめ
TOEICと英会話のどちらを優先すべきかは、あなたの目的とレベルによって異なります。
- TOEIC優先:転職・昇進でスコアが必要、基礎力が不足している
- 英会話優先:仕事で英語を話す必要がある、TOEIC 600点以上の基礎力がある
- 並行学習:中級者で時間に余裕がある、4技能をバランスよく伸ばしたい
大切なのは「どちらが正解か」ではなく「自分の目的に合った方を選ぶ」ことです。そして、可能であれば両方を並行して学ぶのが理想的です。TOEICで基礎を固めながら英会話で実践力をつければ、本当に使える英語力が手に入ります。
まずは自分の目的を明確にし、今日から行動を始めてみてください。


