英語を読んだり聞いたりするとき、無意識に日本語の語順に置き換えていませんか。「英語は後ろから訳す」という学校での教えが染みついている方は多いですが、この「返り読み」の癖こそが、英語の上達を妨げる最大のボトルネックです。
英語はSVO(主語→動詞→目的語)の語順で情報が流れていきます。この「前から順に理解していく感覚」を体に染み込ませることで、リーディング・リスニング・スピーキングのすべてが大幅に向上します。
この記事では、英語の語順感覚を効率よく身につけるための具体的なトレーニング法を紹介します。

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なぜ日本人は英語の語順に苦労するのか
日本語と英語は世界の言語の中でも特に語順が異なる言語ペアです。その違いを理解することが克服の第一歩になります。
日本語と英語の語順の根本的な違い
日本語はSOV(主語+目的語+動詞)で、「私は / 本を / 読みました」のように動詞が最後に来ます。一方、英語はSVO(主語+動詞+目的語)で、「I / read / a book」のように動詞が主語の直後に来ます。
この語順の違いがあるため、英語を「日本語に訳してから理解する」方式では、文の後半を読んでから前半に戻るという非効率な読み方になってしまいます。
「返り読み」の弊害
返り読みの習慣がついていると、以下のような問題が発生します。
- リーディングのスピードが遅い(行ったり来たりするため)
- リスニングで追いつけない(音声は待ってくれないため)
- スピーキングで語順を間違える(日本語の語順で組み立ててしまうため)
- 長文になるほど混乱する(返り読みの負荷が増大するため)
逆に言えば、前から読む型を一度覚えてしまえばこの4つは同時に解消していきます。手順を解説した速読系のトレーニング本を1冊用意すると、練習の指針を作りやすくなります。
英語ネイティブの「情報処理の順番」
英語ネイティブは、文を前から順番に処理します。「誰が」→「何をした」→「何に対して」→「いつ・どこで」という順番で情報が入ってくるのが英語の自然な流れです。この順番のまま理解する感覚を「英語脳」と呼びます。

英語の語順感覚を身につける5つのトレーニング
語順感覚は意識的なトレーニングで確実に身につきます。以下の方法を日常に取り入れてみてください。
1. スラッシュリーディング
スラッシュリーディングは、英文を意味のかたまりごとにスラッシュ(/)で区切り、前から順番に理解していくトレーニングです。
例文で見てみましょう。
原文:The company announced that it would launch a new product next month.
スラッシュ:The company announced / that it would launch / a new product / next month.
前から理解:「その会社は発表した / 新製品を発売すると / 来月に」
日本語として不自然でも構いません。大事なのは「英語の語順のまま意味を取る」ことです。
最初は短い英文(10語程度)で練習し、慣れてきたら20〜30語の文に挑戦しましょう。ニュース記事やTOEICの問題文を素材にすると実践的です。
2. 音読トレーニング
英文を声に出して読む音読は、語順感覚を体に染み込ませる最も効果的な方法の一つです。音読では返り読みができないため、自然と前から順番に処理する練習になります。
音読のやり方:
- 意味を理解した英文を用意する
- 最初はゆっくり、意味のかたまりを意識しながら読む
- 慣れてきたらスピードを上げる
- 1つの文章を10回以上繰り返す
素材は何でもよいわけではなく、音源が付いていることが条件になります。音読用に編集された教材なら、区切り方の手本もそのまま真似できます。
3. サイトトランスレーション(逐次訳)
英文を前から順に、意味のかたまりごとに日本語に訳していく練習です。通訳者のトレーニングでも使われる手法で、英語の語順で情報を処理する力が飛躍的に向上します。
例:I decided / to take a break / because I was exhausted / from working overtime.
訳:「私は決めた / 休憩を取ることを / なぜなら疲れ果てていたから / 残業で」
きれいな日本語にする必要はなく、英語の語順のまま意味が取れればOKです。
4. 英語で独り言(語順を意識して)
日常生活の中で、英語の語順を意識しながら独り言を言う練習です。日本語で考えてから英語にするのではなく、最初から「主語→動詞→目的語」の順番で文を組み立てることを意識します。
たとえば「昨日の夜、友達とレストランに行った」と言いたいとき:
- NG:「昨日の夜…えーと、last night… 友達と…with my friend… レストランに行った…went to a restaurant」
- OK:「I went / to a restaurant / with my friend / last night.」(主語→動詞→場所→人→時間の順)
5. シャドーイングで語順感覚を自動化する
シャドーイングは音声を聞きながらほぼ同時に口に出す練習ですが、語順感覚の強化にも絶大な効果があります。ネイティブの語順そのままに口を動かすことで、英語の語順パターンが体に刻まれていきます。
おすすめの素材:
- VOA Learning English(ゆっくりはっきりした発音)
- BBC Learning English(イギリス英語の語順に慣れる)
- TED-Ed(短い教育動画・字幕付き)

語順感覚の習得におすすめのツール・素材
語順トレーニングを効率よく進めるためのツールやリソースを紹介します。
VOA Learning English
アメリカの国営放送が提供する英語学習者向けのニュースサイトです。ゆっくりとはっきりした発音で読まれるため、スラッシュリーディングやシャドーイングの素材として最適です。レベル別のコンテンツが豊富に揃っています。
公式サイト:VOA Learning English
速読英単語シリーズ
Z会が出版する英語教材で、長文の中で英単語を覚えるコンセプトの教材です。音声CDが付属しており、スラッシュリーディング→音読→シャドーイングの流れで使うと語順感覚の定着に効果的です。
英語のハノン
パターンプラクティス形式で英語の語順を体に叩き込む教材です。「主語を変えてみよう」「時制を変えてみよう」など、1つの文型をさまざまなパターンで反復するため、語順が自動化されやすいのが特徴です。
語順感覚が身についたかのチェック方法
自分の語順感覚がどのくらい身についたか、以下のチェックポイントで確認してみましょう。
チェック1:英文を1回読みで理解できるか
20語程度の英文を1回読んだだけで意味が取れるなら、前から順に処理する力がついている証拠です。戻り読みをしている場合は、まだトレーニングの余地があります。
チェック2:リスニングで「遅れ」を感じないか
英語のニュースやポッドキャストを聞いたとき、情報処理が追いつかず「え、今なんて言った?」と頻繁になる場合は、語順のまま理解する力が不足しています。
チェック3:英語で話すとき語順を迷わないか
簡単な英文(SVO構造)を話すときに語順で悩まなくなれば、かなり語順感覚が身についた状態です。「I want to…」「I think that…」のような基本パターンが自動的に出てくることを目指しましょう。
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語順感覚を身につける際のよくある間違い
間違い1:和訳の精度を求めすぎる
前から訳すと不自然な日本語になりますが、それでOKです。「きれいな日本語にしないと」という思い込みを捨てましょう。目的は英語を理解することであり、日本語に翻訳することではありません。
間違い2:いきなり長文で練習する
最初は5〜10語の短い文からスタートし、徐々に文の長さを増やすのが正しいステップです。いきなりニュース記事の長文に取り組むと挫折します。
間違い3:文法を無視して語順だけ追う
語順感覚の習得は、基本的な文法知識(5文型・品詞の役割)があってこそ効果を発揮します。文法と語順は車の両輪なので、文法が曖昧な場合は並行して学びましょう。
語順感覚は1〜2週間で完璧に身につくものではありません。3ヶ月程度の継続が必要です。焦らず毎日少しずつ練習を続けることが大切です。
レベル別の語順トレーニング計画
初級者(TOEIC 400点未満)
まずは中学レベルの短い英文で、5文型の語順パターンを体に覚えさせることから始めます。主語と動詞を瞬時に見つけられるようになることが最初の目標です。1日10文の音読を2週間続けるだけでも、読み方が変わってきます。
5文型そのものが怪しい場合は、中学英語をやり直す参考書で品詞の役割から確認しておくと、その後の練習がぐっと楽になります。
中級者(TOEIC 400〜600点)
英語ニュース記事をスラッシュリーディングで読む練習に移行します。1日1記事(200〜300語程度)を前から読み切る練習を続けましょう。わからない単語があっても前後の文脈から推測し、立ち止まらないことが大切です。
上級者(TOEIC 600点以上)
TED TalksやPodcastのシャドーイングで、語順処理の自動化を目指します。聞こえた英語をそのままの語順で理解しながら口に出せる状態が最終目標です。日本語を介さずに英語のまま思考できるレベルを目指しましょう。

まとめ
英語の語順感覚を身につけることは、すべての英語スキルを底上げする最も効果的な取り組みの一つです。日本語の「返り読み」から脱却し、英語を前から順に処理する力を鍛えましょう。
語順感覚を身につけるための重要ポイントをまとめます。
- スラッシュリーディングで前から読む癖をつける
- 音読で語順パターンを体に染み込ませる
- サイトトランスレーションで逐次的な理解力を鍛える
- 独り言英語でSVO語順の組み立てを練習する
- シャドーイングで語順処理を自動化する
毎日15分のトレーニングを3ヶ月続ければ、英語の語順が自然に感じられるようになります。今日からスラッシュリーディングを始めて、英語脳への第一歩を踏み出してください。
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