英語のリーディング力を伸ばしたいとき、「精読と多読、どちらをやればいいの?」という疑問にぶつかる方は多いのではないでしょうか。
結論から言うと、精読と多読は「どちらか一方」ではなく「両方」取り組むべき学習法です。この2つはそれぞれ異なる読解力を鍛えるため、バランスよく組み合わせることでリーディング力が最大限に伸びます。
この記事では、精読と多読それぞれの特徴・効果・正しいやり方を詳しく解説し、レベル別の最適な使い分け方を紹介します。

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精読とは?特徴と効果
精読(Intensive Reading)とは、一つの文章を一文一文丁寧に分析しながら読む学習法です。文法構造の理解、語彙の正確な意味の把握、文と文のつながりの分析に焦点を当てます。
精読の特徴
- 自分のレベルと同等か少し上の素材を使う
- 辞書を引きながらじっくり読む
- 文法構造を分析する(SVOC分解など)
- 1つの文章に30分〜1時間かけることもある
- 量より質を重視
精読で得られる効果
- 複雑な文法構造を正確に理解する力がつく
- 語彙の正確な意味・ニュアンスが身につく
- 文章の論理構造(因果関係・対比・例示)を読み取る力が向上
- ライティングの質も連動して上がる
- 難解な英文を「読み解く力」が身につく
精読の正しいやり方(4ステップ)
- 通読:まず全体を通して読み、大意をつかむ
- 構文分析:わからない文について主語・動詞・目的語を特定し、修飾関係を明らかにする
- 語彙確認:知らない単語の意味を辞書で調べ、文脈における意味を確認する
- 再読:すべて理解した上でもう一度読み返し、スムーズに意味が取れることを確認する
多読とは?特徴と効果
多読(Extensive Reading)とは、自分のレベルより簡単な素材を大量に読む学習法です。辞書を引かず、わからない箇所は飛ばしながら読み進めることがポイントです。
多読の特徴
- 自分のレベルより1〜2段階やさしい素材を選ぶ
- 辞書は基本的に引かない
- わからない単語は文脈から推測するか飛ばす
- 楽しみながら読む(つまらなければ本を変えてOK)
- 量を重視(月に数冊〜十数冊)
多読で得られる効果
- 読むスピードが上がる
- 英語を英語のまま理解する「英語脳」が育つ
- 自然な語彙・表現が無意識に身につく
- 文脈から意味を推測する力が向上
- 英語に触れること自体への抵抗感がなくなる
多読の三原則
多読を提唱した酒井邦秀氏による「多読三原則」は以下の通りです。
- 辞書は引かない:辞書を引くと読書の流れが止まる。知らない単語は推測するか飛ばす
- わからないところは飛ばす:全体の意味が取れていれば細部にこだわらない
- 合わないと思ったら読むのをやめる:楽しく読めることが最優先

精読と多読の違いを一覧比較
精読と多読の主な違いを表にまとめます。
| 項目 | 精読 | 多読 |
|---|---|---|
| 素材の難易度 | 自分のレベルと同等〜やや上 | 自分のレベルよりやさしい |
| 読む量 | 少量(1日1〜2ページ) | 大量(1日数十ページ) |
| 辞書の使用 | 積極的に使う | 基本的に使わない |
| 読むスピード | ゆっくり丁寧に | テンポよく速く |
| 主な効果 | 正確性・構文理解力 | 速度・流暢性・英語脳 |
| 鍛える力 | 分析的読解力 | 直感的読解力 |
レベル別の最適な使い分け方
自分のレベルに応じて精読と多読の比率を調整することで、最も効率的にリーディング力を伸ばせます。
初心者(TOEIC〜400点レベル)
精読7:多読3がおすすめです。
この段階ではまだ基本的な文法知識や語彙が不足しているため、精読で土台を固めることが優先です。多読素材としてはGraded Readersのレベル1(Oxford Bookworms Stage 1など)が適しています。
中級者(TOEIC 500〜700点レベル)
精読5:多読5のバランスが効果的です。
文法の基礎は固まっているので、多読の量を増やして読むスピードと語彙の自然な定着を図りましょう。精読ではニュース記事や評論文など、少し難しい素材に挑戦するのがおすすめです。
上級者(TOEIC 800点〜レベル)
精読3:多読7に比率を変えましょう。
基本的な読解力は十分にあるため、多読で大量のインプットを行い、英語を英語のまま処理するスピードと語彙の幅を広げることに集中します。精読は専門書や学術論文など高度な素材で行いましょう。

おすすめの精読素材
精読に適した素材は「少し難しいけれど、辞書を使えば理解できる」レベルのものです。
- 英語ニュースサイト:BBC News、The Japan Times(日本のニュースを英語で)
- 英語学習者向け記事:Breaking News English(レベル別ニュース教材)
- 教科書・参考書:大学入試の長文問題集、TOEICのPart 7
- 評論・エッセイ:TED Talkのスクリプト
おすすめの多読素材
多読に適した素材は「辞書なしで8〜9割理解できる」レベルのものです。
- Graded Readers:Oxford Bookworms、Penguin Readers、Cambridge Readers(レベル別に段階的に読める)
- 児童書:Roald Dahl作品、Magic Tree House、Diary of a Wimpy Kid
- コミック:英語版マンガ(日本のマンガの英語版はストーリーを知っているので読みやすい)
- 多読専用サイト:NPO多読のサイトでは無料で読める素材が紹介されている
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精読×多読を組み合わせた1週間スケジュール例
中級者向けの1週間スケジュール例を紹介します。
- 月・水・金:精読(1日20〜30分)ニュース記事1本を丁寧に分析
- 火・木・土・日:多読(1日30〜60分)Graded Readersや洋書を楽しく読む
大切なのは毎日少しでも英語に触れること。精読の日も多読の日も、英語を読む習慣を途切れさせないことがリーディング力向上の最大の秘訣です。
よくある質問
Q. 精読だけでリーディング力は上がりますか?
精読だけだと「正確に読めるけれどスピードが遅い」という状態になりがちです。TOEICのPart 7で時間が足りなくなる方は、多読で速く読む力を鍛える必要があります。
Q. 多読だけではダメですか?
多読だけだと「なんとなく読めているけれど、複雑な文章で誤読する」というリスクがあります。精読で正確に読む訓練も並行することで、多読の質も上がります。
Q. 多読は何語くらいから効果が出ますか?
一般的に、累計30万〜100万語を読むと明確な効果を実感できると言われています。Graded Readersのレベル1は1冊5,000〜6,000語程度なので、50〜150冊程度が目安になります。
多読で「辞書を引かない」というルールは、「永遠に辞書を使うな」という意味ではありません。多読中に何度も出会う未知語は、後でまとめて調べて精読的に学ぶと効率的です。
精読と多読を効果的に組み合わせる「ハイブリッド読書法」
精読と多読を別々に行うだけでなく、一つの読書体験の中で両方の要素を取り入れる「ハイブリッド読書法」も効果的です。
方法1:多読→気になる箇所だけ精読
多読でテンポよく読み進め、「ここの文構造がわからない」「この表現を正確に理解し���い」と感じた箇所だけマークしておきます。読み終わった後にマークした箇所を精読するやり方です。
この方法のメリットは以下の通りです。
- 読書の流れを止めずに楽しめる
- 自分が「本当にわからない」箇所だけに精読の労力を集中できる
- 多読による大量インプットと精読による深い理解の両立が可能
方法2:精読した素材を後日多読スピードで再読
一度精読で完璧に理解した文章を、1週間後に多読のスピードで読み返します。すでに内容を理解しているため、スラスラ読める感覚が得られ、読むスピードの向上を体感できます。
方法3:音読を挟む
精読で理解した文章を音読するのも効果的です。目と耳と口の三つの感覚を使うことで、文章の構造やリズムが体に染み込みます。精読→音読→多読という流れで同じ素材を3回触れることになり、定着率が飛躍的に高まります。

多読を続けるためのモチベーション維持法
多読は「100万語」を一つの目標にすることが多いですが、そこに至るまでに挫折してしまう方も少なくありません。以下の工夫でモチベーションを維持しましょう。
読書記録をつける
読んだ本のタイトル、語数、感想を記録していくと、積み上がっていく達成感が得られます。スプレッドシートやアプリで累計語数をカウントするのもおすすめです。
好きなジャンルから始める
ミステリーが好きならミステリーのGraded Readersから、恋愛ものが好き���らロマンス系から始めましょう。内容に興味があれば、多少知らない単語があっても読み進めたくなるものです。
レベルを上げすぎない
「簡単すぎる」と感じるレベルの本をたくさん読むのが多読の正しいやり方です。背伸びして難しい本を選ぶと、読むのが苦痛になり続きません。目安として、1ページに知らない単語が2〜3個以下の本が適切なレベルです。
仲間を見つける
多読仲間がいると「次はこの本が面白かったよ」と情報交換ができ、モチベーションが維持しやすくなります。SNSの多読コミュニテ��や読書会に参加してみましょう。
まとめ:精読と多読の両輪でリーディング力を磨こう
精読と多読はどちらか一方を選ぶものではなく、両方をバランスよく取り入れることで相乗効果が生まれます。
ポイントをまとめると:
- 精読は「正確に読む力」、多読は「速く自然に読む力」を鍛える
- レベルに応じて比率を調整する(初心者は精読多め、上級者は多読多め)
- 精読素材は「少し難しい」もの、多読素材は「楽に読める」ものを選ぶ
- どちらも継続が命。毎日少しずつでも英語に触れる習慣を作る
まずは今の自分のレベルを把握し、今日から精読と多読のどちらか(または両方)を始めてみてください。半年後には、英語の文章を読むスピードも正確さも見違えるほど向上しているはずです。

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